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PS5でクラウドゲーミングは可能?基本を解説

はじめに

PlayStation 5(PS5)は、PlayStation Plus Premium(クラウドストリーミング)をはじめとするクラウドゲーミングに対応し、対応タイトルなら「本体に高性能なGPUがなくても」大作を遊べる時代になりました。だからこそ重要になるのがインターネット回線の質です。単に「下り速度が速いかどうか」だけではなく、応答速度(Ping)や揺らぎ(ジッタ)、安定性、家庭内Wi-Fiの設計までがプレイ体験を左右します。

本記事では、PS5のクラウドゲーミングを快適にするための回線速度の目安、実測方法、回線の選び方、家庭内ネットワーク最適化の手順、よくあるトラブルの原因と対処までを、初心者向けにステップで解説します。NURO光・auひかり・ドコモ光といった主要光回線の特徴も触れながら、実測と評判ベースでのおすすめも整理。記事の最後にはFAQも用意しました。今日から設定できる「小さな改善」で、ラグとブロックノイズに悩まない環境を一緒につくっていきましょう。


本文

章1|PS5のクラウドゲーミング基礎知識(仕組み・用語・必要条件)

クラウドゲーミングの動き方

クラウドゲーミングは、ゲームの描画処理をクラウド上のサーバーで行い、その映像をストリーミングで受け取り、あなたの操作(入力)をサーバーへ送り返す仕組みです。映像配信と操作の往復が常時発生するため、一般的な動画視聴よりも回線品質への要求が高くなります。

用語を3つだけ押さえる

  • 下り速度(ダウンロード):サーバーから届く映像データの受信速度。単位はMbps。
  • 上り速度(アップロード):あなたの操作や状態データを送る速度。単位はMbps。軽視されがちですが重要。
  • Ping(レイテンシ):操作がサーバーに届いて結果が返るまでの遅延。単位はms。数値が小さいほど快適。

加えて、ジッタ(遅延の揺らぎ)とパケットロス(データの取りこぼし)も体感に直結します。ジッタが大きいとカクつきや入力ズレ、パケットロスがあるとブロックノイズや音切れが目立ちます。

快適プレイの目安(画質別)

画質推奨下り推奨上り推奨Ping
フルHD(1080p)15〜25Mbps以上5Mbps以上50ms以下
4K(対応タイトル)35〜50Mbps以上10Mbps以上30ms以下

これはあくまで目安で、同じ数値でも「安定性」が低いと快適に感じません。測定値の平均だけでなく、バラつき(ジッタ)をチェックしましょう。

初心者事例(ケーススタディ)

マンション在住のAさんは、Wi-Fi 2.4GHzでPS5を接続していました。下りは60Mbps出ているのに、夜だけラグがひどい。原因は近隣の電波混雑によるジッタと、古いルーターの帯域制御不足。5GHz帯へ切り替え、有線LANで接続し、ルーターのQoS(帯域優先)を有効化したところ、Pingが45ms→24ms、ジッタが20ms→6msに改善し、ブロックノイズが解消しました。


章2|「速度だけじゃない」体感を決める品質の見方

速度・Ping・ジッタ・パケットロスの関係

  • 速度は映像の解像度・ビットレートの上限を押し上げます。
  • Pingは入力の素直さを決めます。格闘・FPSは特に影響大。
  • ジッタはフレームの滑らかさに直結。値が大きいと時々止まる感覚に。
  • パケットロスは映像の欠けや音切れの主因。0%が理想。

どの数値を優先する?

アクション・FPS重視ならPingとジッタ、じっくり遊ぶRPGなら安定した下り速度を優先、というイメージでOK。もちろん全部大事ですが、改善の優先順位を決めると施策がぶれません。

計測の基本

  • 速度:fast.com(シンプル)、speedtest.net(詳細)、Google検索の「speed test」でも可。
  • Ping/ジッタ:speedtest.netの詳細、Cloudflareの速度テスト、PCならWinMTRやPingPlotter。
  • PS5本体:設定 > ネットワーク > 接続状態を表示(NATタイプも確認)。

初心者事例(ケーススタディ)

主婦Bさんは、家族が動画視聴する20〜22時にだけ映像が荒れる。全体速度は充分だが、家庭内の同時通信でジッタが悪化していました。ルーターのQoSでPS5の通信を優先し、家族のストリーミング画質を自動から標準に落としたところ、フルHD安定を実現。混雑時間帯の「使い方の調整」も有効です。


章3|回線タイプの選び方(光・モバイル・CATV・固定5G)

光回線(おすすめの第一候補)

物理的に宅内まで光ファイバーを引き込むため、下り・上りともに高速で安定。Pingも低くなりやすく、クラウドゲーミングとの相性は抜群。IPv6(IPoE)が使えると混雑耐性がさらに上がります。

モバイル回線(5G/4G)

外出先や工事不可の住居で選択肢になります。ダウンロード速度は出ても、上りやPingが不安定になりがち。基地局の混雑や電波状況に左右されるため、対戦系よりもソロプレイやRPG向き。テザリングは短時間の遊びには便利ですが、長時間のクラウド配信にはデータ容量と発熱に注意。

CATV(同軸ケーブル)

エリアによっては下りは十分ながら、上り速度とレイテンシが弱めになることがあります。最新プランやIPv6対応状況を確認し、可能なら光回線への乗り換えを検討。

固定5G・ホームルーター

工事不要で設置が簡単。基地局が近く混雑が少ない環境では快適な場合もありますが、夜間帯の変動や上りの伸び悩みがネックになりやすい点は理解して選びましょう。

初心者事例(ケーススタディ)

CさんはホームルーターでPS5を利用。日中は快適だが夜は入力遅延が増えました。設置位置を窓際へ移動し、金属棚から離すだけで下り70→120Mbps、Ping45→32msに改善。さらにアンテナの向きを少し変えるだけでジッタが半減。電波系は「置き場所」で大きく変わります。


章4|おすすめのインターネット回線3選(実測・評判ベースの観点)

1. NURO光

下り最大2Gbpsクラスのプランがあり、独自網で混雑に強いのが魅力。低Pingの声が多く、クラウドゲーミングとの相性が良好。戸建て・一部集合住宅で選ばれやすい回線です。

2. auひかり

エリアによってはNUROと同等のパフォーマンス。独自回線系で混雑に強く、IPv6対応で遅延面も安定。提供エリアが合うなら有力候補。

3. ドコモ光(プロバイダはGMOとくとくBBなどIPv6対応を推奨)

フレッツ光コラボで全国対応。IPv6(IPoE)対応プロバイダを選ぶことで混雑時間帯も安定しやすい傾向。家族利用の多い家庭にも相性が良いです。

※いずれも最新の提供状況・キャンペーン・工事可否は公式で必ず確認してください。とくに集合住宅は設備により最大速度や方式が異なります。

申込〜開通のコツ

  1. エリア判定:住所で提供可否を確認
  2. プラン選定:IPv6(IPoE)に対応すること
  3. ルーター選定:IPv6とゲーミング向けの帯域制御(QoS/SQM)に対応
  4. 宅内配線:ONU近くにルーター、PS5はできれば有線
  5. 開通後の測定:日中・夜間で実測、改善点を洗い出す

初心者事例(ケーススタディ)

Dさんはマンションでドコモ光を契約。開通後、IPv6に未切替(PPPoEのまま)で夜の速度が伸びず、Pingも不安定。プロバイダのマイページでIPv6を有効化し、対応ルーターでIPoE接続に切り替えると、夜でも下り300Mbps・Ping25ms前後に安定。設定一つで世界が変わります。


章5|家庭内ネットワーク最適化:今日からできる5ステップ

手順1:PS5はできれば有線LAN

  • ルーターからPS5までCat6A以上のLANケーブルで直結。取り回しが難しい場合は平型ケーブルやモールで配線を工夫。
  • 有線が難しいときは電力線アダプター(PLC)やMoCAも検討。ただし環境により速度・遅延が上下します。

手順2:Wi-Fiを使うなら5GHz

  • 2.4GHzは遠くまで届く一方で混雑と干渉に弱い。5GHz(802.11ac/ax)を優先。
  • ルーターで「バンドステアリング」を有効化し、PS5が自動で5GHzに乗るようにする。

手順3:IPv6(IPoE)へ切り替え

  • プロバイダのマイページでIPv6オプションを有効化。
  • ルーターの接続方式を確認し、IPoE(MAP-E/DS-Lite等)へ。PPPoEは夜に混雑しやすいケースが多い。

手順4:QoS/SQMでPS5を優先

  • ルーターの「端末優先」「アプリ優先」を設定。PS5のMACアドレスを優先対象に。
  • 同時通信の多い家庭では、SQM(Smart Queue Management)があるとバッファブルートに強く、Pingの安定に効きます。

手順5:ルーターの置き方・熱対策

  • 高所・障害物の少ない場所に設置。金属棚や電子レンジ付近は避ける。
  • 夏場は発熱でスループットが落ちることも。風通しを確保。

初心者事例(ケーススタディ)

Eさん宅では、PS5をテレビ台の奥に置いたままWi-Fi接続。ルーターは床置き、近くに電子レンジ。5GHz固定・ルーターを棚上段へ移動・PS5を有線化したところ、下り240Mbps→520Mbps、Ping32ms→18ms、ジッタが半分以下に。設置と配線の見直しが費用対効果抜群でした。


章6|トラブルシューティング:ラグ・ブロックノイズ・切断の原因と対処

症状から探すチェックリスト

  • 入力ラグが大きい:Ping/ジッタ悪化、ルーターのバッファ、Wi-Fiの干渉、遠いサーバー
  • 映像が荒れる・四角く崩れる:下り不足、パケットロス
  • 切断・再接続が多い:電波不安定、上り不足、回線の瞬断、NAT制限

原因別の対策

  • Ping/ジッタ改善:有線化、IPv6 IPoE、QoS/SQM、混雑時間帯を避ける
  • 下り不足:ビットレート自動設定、帯域を食う端末を一時停止、ルーター再起動
  • パケットロス:ケーブル不良を交換、Wi-Fiチャネル変更、電子レンジ・Bluetooth干渉回避
  • NATタイプ:UPnPを有効化、二重ルーターを解消(ONU直下に1台)、ブリッジモードの確認

ありがちな落とし穴

  • 速度テストだけで判断してしまう
  • プロバイダのIPv6申込を忘れてPPPoEのまま
  • ルーターのファーム更新忘れ
  • メッシュWi-Fiのサテライトを金属棚に置いてしまう

初心者事例(ケーススタディ)

Fさんは突然の切断に悩み、測定では速度もPingも良好。原因は古いLANケーブル(Cat5相当)と、二重ルーターによるNAT不安定。Cat6Aへ交換し、モデム側ルーターをブリッジ化で解決。ケーブルと経路のシンプル化は強力です。


章7|実測サイトとラグ診断ツールの使い方(手順つき)

速度の測り方(PS5/スマホ/PC)

  1. PS5:設定 > ネットワーク > 接続状態を表示で概況を把握
  2. スマホ:fast.comを開く(下りの傾向がわかる)
  3. PC:speedtest.netでサーバーを近いロケーションに設定し、下り/上り/Ping/ジッタを記録
  4. 同時間帯に2〜3回測り平均をメモ。夜間帯(20〜22時)も必ず実施。

ラグの深掘り

  • Cloudflareの速度テストでジッタ傾向を把握
  • WinMTR/PingPlotterで経路上の遅延やロスを可視化(PC)
  • 連続測定を10分以上行い、ばらつきを見る

参考になるサイト

  • fast.com(シンプルで早い)
  • speedtest.net(詳細表示、履歴管理)
  • radikoスピードチェッカー(国内回線の目安、ブラウザで手軽)

初心者事例(ケーススタディ)

Gさんは昼は快適、夜は映像が荒れるため、speedtest履歴を朝・昼・夜で3日連続記録。夜だけジッタとロスが増加し、PPPoE経路の混雑が疑われました。IPv6 IPoEへ切り替えると夜間の安定性が回復。データを取ると対策が明確になります。


章8|環境別の最適解:賃貸・戸建て・外出先

賃貸で工事が難しいとき

  • 固定5G/ホームルーターを候補に。設置位置を最適化して電波品質を底上げ。
  • 管理会社に相談すると工事許可が出る場合も。原状回復が可能な配線なら通ることがあります。

戸建てでのコツ

  • ONUとルーターを家の中心付近へ。階層を跨ぐなら有線の中継機やメッシュWi-Fiを導入。
  • 長距離配線はCat6A以上、壁内配線が可能なら将来を見越してCat6A/7を敷設。

外出先で遊ぶとき

  • 5GテザリングやモバイルWi-Fiは短時間のRPGやソロ向けに。データ消費に注意(1080pで1時間あたり約5〜10GBが目安、コーデックと設定で増減)。
  • 混雑しやすい駅・商業施設はPingが跳ねやすい。場所選びが勝負。

初心者事例(ケーススタディ)

Hさんは賃貸で工事が不可。ホームルーターを窓際へ、Wi-Fiは5GHz固定、PS5はPLCで有線化。結果、Pingが40→28ms、実プレイでの入力遅延が体感で改善。妥協案でも「置き方と経路」で伸ばせます。


FAQ(5〜8問)

Q1. フルHDと4K、どちらを狙うべき?

まずはフルHD(1080p)で安定性を確保するのが賢明です。4Kは下り35〜50Mbps以上、上り10Mbps以上、Ping30ms以下が目安で、安定性のハードルも上がります。夜だけ不安定なら、4Kは時間帯を選ぶと良いでしょう。

Q2. Wi-Fiでも十分に遊べますか?

可能です。ただし2.4GHzは干渉に弱いため、5GHzを優先し、距離と遮蔽物を減らしましょう。ルーターは最新規格(Wi-Fi 6/6E推奨)で、QoSやバンドステアリングを活用。最も確実なのは有線LANです。

Q3. データ容量はどのくらい必要?

1080pで1時間あたりおおむね5〜10GB、4Kではそれ以上と考えてください(コーデックとビットレートで変わる)。モバイル回線では容量超過に注意。光回線は基本的に上限を気にせず使えます。

Q4. NATタイプはゲームに影響しますか?

影響します。NATタイプが厳しいとマッチングやボイスチャットに支障が出ることがあります。UPnPを有効にし、二重ルーターは解消。どうしても難しければ、上流機器をブリッジモードにするか、プロバイダに相談しましょう。

Q5. VPNを使うと速くなりますか?

一般にVPNは経路が増えるため遅延面で不利です。例外的に混雑経路を避けて改善するケースもありますが、クラウドゲーミングでは基本的に非推奨。まずはIPv6 IPoEと家庭内最適化を優先しましょう。

Q6. 家族が動画を見始めると急に重くなります

QoSでPS5を優先、ストリーミング側は画質自動から標準に調整、ダウンロードはプレイ前後にスケジューリング。メッシュWi-Fiならバックホールを有線にすると干渉が減り、ジッタ低下につながります。

Q7. ルーターの買い替え目安は?

5年以上前のモデルは、処理性能や最新機能(IPv6 IPoE、OFDMA、MU-MIMO、SQM)が不足していることが多いです。PS5でクラウドゲーミングを本格的に楽しむなら、Wi-Fi 6/6E対応・IPv6 IPoE対応・QoS/SQMが揃う機種を目安に。

Q8. モバイルでも対戦ゲームはできますか?

環境次第です。基地局が近く空いていれば可能ですが、移動体通信はジッタが出やすい傾向。テザリング時は発熱でスループットが落ちることも。安定性重視なら光回線が第一候補です。


まとめ|PS5クラウドゲーミングに合う回線を選ぼう

  • フルHDなら下り15〜25Mbps以上、上り5Mbps以上、Ping50ms以下が一つの基準。4Kなら下り35〜50Mbps以上、上り10Mbps以上、Ping30ms以下を目安に。
  • 速度より「安定性」「Ping」「ジッタ」「パケットロス」が体感を決めます。測定は日中・夜間で複数回。
  • 回線選びは、光回線(NURO光・auひかり・ドコモ光などIPv6 IPoE対応)を第一候補に。プロバイダ設定でIPv6を必ず有効化。
  • 家庭内は、有線LAN>5GHz Wi-Fi。ルーターは最新機能(QoS/SQM、バンドステアリング)を活用し、設置場所と放熱にも配慮。
  • 困ったらトラブルシューティングのチェックリストで原因を切り分け、ケーブル・経路・設定の三点を順に最適化。

今日できる改善は、IPv6 IPoEの切り替え、有線化、5GHz固定、QoS設定、設置場所の見直しの5つ。小さな一歩が、クラウドゲーミングの「入力の素直さ」と「映像の安定」を大きく変えます。PS5でのクラウドプレイを、気持ちよく楽しんでください。

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